【仕事】70歳で会社を立ち上げた父。挑戦するのに年齢は関係ない

タイトルの通り、私の父は70歳で小さいながらも会社を立ち上げました。

年齢で言ったら、もうとっくに定年退職して第2の人生を謳歌していてもおかしくない。72歳になった今でも朝早く起きて仕事に出かけていきます。

父はサラリーマンではなく職人。中学卒業後、高校へは行かず東京に上京。作業着を着て現場仕事に出ていました。当時のことをあまり教えたがらない父ですが、おそらく職業柄、日によっては仕事がなく生活も不安定だったのかと思います。

でも父は、その職種の仕事をずっと続けてきました。

もちろん学歴から考えると、就ける仕事は限られていたからだとは思います。

何度か転職を経験していますが、職種は変えずその道一筋で歩んできました。今でいうヘッドハンティングされて転職したこともあったそうです。現場仕事なので勤務地は1ヵ所ではなく全国規模でした。海外にも出張したことがあります。私が幼い頃から1か月以上、家を空けることもありました。

そうして同じ業界に長年いると「この作業は〇〇さんにお願いしたいから」と父がいた会社を指名してくれることも多くなったそうです。人脈が広がり信用もされていく。傍から見れば「お父さんすごいね」と言ってくれるかもしれません。でも家にいる父は違いました。

私や兄が10代の頃は親子喧嘩が絶えませんでした。

父は酒に酔うと日頃のストレスを私や兄にぶつけてきました。虐待まではいかなくても理由もなく怒られたり頭を叩かれたりはしました。兄に関しては高校3年間、父親とまともに会話していません。それくらい家族関係は冷え切っていました。

もちろん今は昔のことが嘘のように仲良しになっています。

兄が結婚し子供も生まれ、自分に孫ができると父の性格が変わりました。まあ年齢もありますが、お酒も嗜む程度の量になりタバコもあまり吸わなくなりました。「孫のためにも頑張らないと」と仕事を続けてきました。

そして会社を立ち上げる前に在籍していた会社である提案をされたそうです。

「現場仕事に出るのは年齢的にもきつくなってくるはず。でも〇〇さんの長年の知識と経験を会社としては手放したくない。会社の定年に近づいているし、〇〇さん自身が会社を立ち上げてほしい。そして仕事を回します。全面的にバックアップします」と言われたそうです。

今の時代、こんな風に言ってくれる会社ってあるでしょうか。

父親自身は職人として引退するつもりはなかったのですが、会社を立ち上げる考えはなかったそうです。バックアップがあるとはいえ、経営に関してはまったく無知なので不安は大きかったと言います。

でも背中を押してくれたのは、どんな時でも自分についてきてくれた自分の弟子たちであり、家族の存在だと言っていました。父を除けば従業員は5人の小さな会社。まだ2年ですが経営は安定しています。社長となった今でも率先して現場に出ています。こちらがびっくりするくらい元気に動き回っています。

そんな父が今の私を見て言ってくれたこと。

昨年6月に11年勤めた会社を退職したあとは、転職失敗の連続。職業訓練校に通うことになった時も怒らずに応援してくれて、先日すぐに仕事をリタイアしたことにも声を荒げることなく話を聞いてくれました。（まあ事情があれでしたし…）

「そうか。また辞めたか。まあ仕方ない。落ち込まずじっくり探せ。まだまだチャレンジできる年齢だ。悲観的になるなよ」と。ありきたりの言葉に聞こえるかもしれませんが、70歳で会社を立ち上げた父に言われると納得できたし勇気づけられました。

40代、50代で「仕事がない」と悲観的になるのはまだ早い。

自分で考えすぎて道を狭めているだけかもしれない。チャレンジするのに年齢は関係ないと考えるようになりました。50歳過ぎて演技の道に行く俳優さんもいたし、ずっと専業主婦だった人が起業した事実もある。

だから私も積極的に動こうと決めました。

待っているだけは何も変わらないから。